LAST RANKER
イメージエポック開発でカプコン販売のPSP対応のRPG「ラストランカー」。
買った動機は唯一つ。
吉川達哉氏のキャラクターデザイン。それだけだ。それはゲームを買う動機としてどうなのかと思わないでも無いが、衝き動かされ買ってしまった物はしょうがない。
クリアしたのは大分前だが、ゲームカテゴリの感想文第一弾として記憶だけでなくプレイしつつ書けるし、解説しやすいRPGのラストランカーが最適だろうと言う判断でチョイス。
さり気なく、ソフトを先に買ってハード(PSP)を後から買うという意味不明な所業を(今回も)しているわけだが、まぁそれは兎も角、手探り感満載で感想文書くよ。
■ストーリー
世界中の戦士の殆どである約10万人の戦士が所属する組織「戦候機構バザルタ」、通称「機構」が支配する世界。戦士達はランキングによって格付けされ、ランキング上位の者が「力」によって世界を統治していた。機構と関わりを持たず、カンタレラという集落の青年ジグは、ただ繰り返される儀式と伝統を守る生活に意味を見出せず、自分自身の価値を実感するため、故郷を捨てて機構へ入ることを決意する。
序盤はとても良い。が、何故か駆け足になり、ストーリーの尺というか、演出の配分がかなり偏っている。終わりに近付けば近付く程、粗や端折りやキャラのポンコツ化が増える。
正直、時間も予算も無かったのか? と邪推するほど前半と後半のクオリティに差がある。
また、冒頭に引用した通り組織の中での活動が大半を占めるため、おつかいイベント的な物が多く感じられる。飽きない工夫はされているものの、キツい人にはキツそう。
序でにストーリーに自由度的な物はほぼ存在しない。
ランカーも(当然だが)表示される数字程は居ないし、挑める順番は結構固定されてる。
■キャラクター
ビジュアル的な意味でも、人格的な意味でも、よく出来ている。主人公ジグやその他主要キャラクターは勿論、脇役に至るまで高い完成度で吃驚する程キャラが立ってる。
主要キャラには声がついているが、キャスティングと言う意味でも違和感を覚えるような割当は無く、実力派ばかりが起用されているため声がプラスに働いてる。
ポリゴンでの演技もしっかりしており、そのキャラの動きに違和感を覚える事はほぼ無い。
べた褒めだけど、実際そのくらいのクオリティは間違いなくある。
蛇足だが、個人的なお気に入りはイゴリダ。主要キャラは味方も敵もみんな見所のあるキャラクターだけど、イゴリダは頭一つ抜けてるね。こういうキャラ大好き。
一番ぞくりと来たキャラはミシーさん。「とっても、しあわせよ」という台詞で背筋が凍るってのはなかなか無いよ。プロフィールが間違ってるとしか思えないほど戦慄した。
■システム
基本的に、目新しいというか斬新というか、つまるところ「説明書だけじゃ分からない」というサガシリーズのような複雑なシステムは存在しない。殆どがオーソドックス。
レベルを上げ、装備を整え、スキルをセットする。というのが主人公を強化する手段。
特筆すべきは、ゲームのコンセプトに沿った「強制一人旅」。プレイヤーが操作するのはジグのみという部分。但しスタイルスイッチというシステムで戦法はある程度選べる。
オーソドックスかつシンプルではあるが、プレイ感覚としては意外と新鮮な感じ。
殆どの行動に自然回復するSPという数値が必要で、ガン攻めしてると必然的に相手の攻撃を全て受ける羽目になり、反面守りを固めるだけではじわじわと削り殺されるため、バランスを取るのが肝要になる。……と、書くと一人しか居ないしシビアな駆け引きが必要なのかと思われるかも知れないが……実はそうでもない。特にモンスターを相手にする場合はかなり大味になる。
また、後半になるにつれ、強力なスキルが増えるとゴリ押しでもどうにかなる事も多くなってくる上、シンプルな分戦略的な奥深さは殆どなく、スキルも種類はそんなに多くない。武器や防具にも同じ事が言え、攻撃力(あるいは防御力)は低いが特殊な効果を持つなど、そういった別の評価軸が殆ど存在しないため、装備も基本一辺倒になる。
そのため、噛み合ない敵が出てくるとレベル上がってても普通に死ぬ。が、それは恐らく開発側も織り込み済み。戦闘で負けると容易にコンティニュー出来たり、メニュー画面挟んでコンティニュー出来たりするので、ぶっちゃけゲームオーバーのリスクは全くと言っていい程無い。良く言えば、色々気楽に試せる。悪く言えば、緊張感ゼロ。そして前述の通り色々気楽に試そうと思う程の奥深さが無いので、マイナス面ばかりが目立つ。
あと所謂「再戦」が出来ないというのが個人的にはかなりのマイナス。
登場したランカーとは闘技場で何度も戦えるとか、訓練的な扱いで再戦出来るとかやりようはいくらでも有りそうなもんだが、一度勝った相手には一部を除いて再戦不可。
総じて言えるのはシンプルというよりは悪い意味でミニマルだと言う事。
■まとめ
総評としては、作り込み不足が惜しい一作。
良かった点はやっぱりキャラクター。そのデザインが最たる例だけど、演じている方々も実力派声優が多かったり、ポリゴン演技もしっかりしてるなど、キャラ全般良く出来てる。
悪かった点は色んな意味でボリューム不足。所謂ゲームの長さもそうだけど、システムをシンプルにした弊害を打ち消せていないというのが最大の問題。ストーリーも後半が駆け足。
良く言えばライトで、サラッと出来てサラッとクリア出来るカジュアルプレイに向いたRPG。悪く言えばシステム、ストーリー両面で作り込みの浅さが見える中途半端なRPG。
BGMもグラフィックも題材も良い。酷い電波もバグも無く、ただただ作り込みだけが足りないと言うのが何とも惜しい。もうちょっと作り込まれてれば良作になってただろうなぁ。
とは言え、今ならベストプライスで買えるしこの値段なら寧ろ安いと思えるくらいのクオリティは十分に持ってるので、PSPで軽くRPGやりたい人には強くオススメ出来る。