青春少年マガジン1978~1983

 少年時代は漫画=ジャンプという式が成り立っていたほどのジャンプっ子。
 なのでマガジンは恥ずかしながら片手で数えるほどしか読んだ事がなかった。
 しかも、この漫画がメインに扱っているのは「1・2の三四郎」が連載していた1978年から1983年。終わりの年に産まれたのに、リアルタイムで知るのは土台無理という事だ。

 しかし、それでもこの漫画は面白いと断言出来る。
 昨今再び注目されてきた「漫画の漫画」としては屈指だと思う。
 何故そういえるのか、というのはまぁ続きをどうぞ。この手の漫画にネタバレという概念はあまり無いかも知れないけど、気になる方はお気を付け下さい。

 この漫画は、事実を創作で味付けした自伝風味の漫画だ。
 更に言うなら「当時の週刊連載というものの過酷さ」を如実に著した漫画。
 サラッと読んでも、「命を削るとはこういう事だ」と言わんばかりの過酷さ。
 さらに細かく読みとっていくと、当時の漫画雑誌というのは気が狂ってるとしか思えない所業を結構やってるんだな、というのがよく分かる。

 以降はそれぞれをピックアップして描写。

・漫画道とは死狂いなり
 正気にては大業成らず。と言い出しそうなノリ。
 いやマジでこの漫画を読んでると当時の漫画雑誌——というより漫画家達はみんな有る程度ぶっ飛んでたんじゃないかなぁ、思わざるを得ない。
 手塚治虫を始祖としたあの一時代は連載を複数同時に持つと言うのが当たり前だった、という所が狂っている。今ほど作画偏重では無かっただろうし、大友以前と考えると現在と単純に比較は出来ないのだが——それでも週平均睡眠が八時間という辺り狂ってますよ。
 著者が遅筆であると言う事を差し引いても、この殺人的スケジュールを敢行した当時の編集部も(その編集者の激務的な意味でも)なかなかに死狂るってると言わざるを得ない。
 俺が最も戦慄したのは、作中の台詞「次寝れるのは・・・・5日後か・・・・」という台詞からの「事実その通りとなった」というナレーション。どういうことなの……。
・漫画の漫画
 最近のジャンプで言えば「バクマン。」、往年の名作で言えば「まんが道」がこれに該当するが、「青春少年マガジン」はそれらとは少々趣が違う。
 何が違うのか、と言えばそれは間違いなく血の匂いだろう。
 漫画に血が通っていると言うより、血を吹いてるんじゃないかと思うくらい壮絶な描写が多い。とは言っても別にグロテスクだとかそういう事ではない。絵柄は寧ろディフォルメが強めだ……が、だからこそそれぞれの描写は強烈なインパクトを残していく。
・死
 最大のインパクトはこれだ。
 作中で主人公格の人物が悉く亡くなる。
 そしてこの漫画は、事実をちょっと脚色した漫画。
 と言う事は、本当に亡くなっている訳である。
 比較対象にあげた「バクマン。」に無くて「青春少年マガジン」に有るものは正にこれ。
 現実の重さだ。
・漫画家たちの挽歌
 さっきは漫画の漫画だと書いたが、より正確に書くと「著者が親友に捧げる」漫画家の漫画だ。哀悼の漫画とも取れるし、鎮魂の漫画とも取れる。
 が、それらをギャグのテイストで包んでいる辺りは流石という他無い。
 内容は物凄く重たいし心に迫るものがあるのに、読後感には不思議と嫌な後味は無いというのがこの漫画の非凡な所。

■まとめ

 総評としては、漫画家志望のみならず漫画家という職業に興味のある人、そして少年マガジンという雑誌を読んでいた人は是非読んで欲しい漫画。
 特に長く少年マガジンを読んでる人には、かなり懐かしいんじゃないだろうか。
 俺自身はリアルタイム世代の丁度下に当たるため、「懐かしい」という感覚はなかったが1978〜1983という時代に多感な時期を過ごした方々で加えてマガジン読者だった方々には、懐かしくも面白くそして少ししんみり出来る……と思う。
 全て想像故に言い切る事が出来ないのが歯痒いなぁ。
 何はともあれ、一度手に取ってみるのがオススメ。

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